2012年3月1日木曜日

作品紹介:『終点のあの子』


『終点のあの子』
柚木麻子著
発売:文藝春秋
定価:1400円

揺れ動く思春期を描く、最強の「ガールズ系小説」
女子校の甘くて苦い出来事を、やわらかく繊細な文章で描く受賞作ほか
全4篇を収録
(文藝春秋オフィシャルサイトより)


記念すべき柚木先生のデビュー作です。
第88回オール讀物新人賞を受賞した「フォーゲットミー、ノットブルー」と、「甘夏」「ふたりでいるのに無言で読書」「オイスターベイビー」の合計4篇を収録しています。
主な舞台は都内にあるお嬢様女子校。
変わり映えのしない学校生活に、有名カメラマンを父に持ち、芸術家気質で奔放な転校生・朱里がやって来たことから、クラスの力関係やグループのバランスが崩れ始めます。
憧れたり、共感したり、嫉妬したり、見下したり・・・
万華鏡のように目まぐるしく変化する女の子たちの気持ちを、丁寧に、かつ寄り添いすぎずに書きあげる柚木さんの筆が光ります。
大人になれば平気でやり過ごせるような出来事も、彼女たちにとっては一大事。
あの頃の私も、誰かを嫌うふりして、本当はうまくやれない自分をいちばん嫌っていたのかな・・・なんて思い返して、胸がチクチクしました。
どの話も「わかるわかる」と頷かずにはいられませんが、特に読書好きには、「ふたりでいるのに無言で読書」はたまらないはず!
また最後まで読み終えると、個々の話では見えなかったものが見えてきます。
カバーに塗られた印象的なブルーのように、せつなくも清々しい気持ちになれる本です。
(文責・G)

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